「もらった花束をドライフラワーにしたいけど、どの花が向いているの?」
「前に挑戦したら、しなしなになって失敗した……」
そんな経験がある方、実は花選びの段階で勝負が決まっていたかもしれません。
花屋で12年働き、5年前からドライフラワーのアレンジメント教室を開いている川村 彩です。
これまで1,000人以上の方にドライフラワー作りをお伝えしてきましたが、最初の質問はいつも同じ。
「どの花なら失敗しませんか?」です。
結論から言うと、花材さえ間違えなければドライフラワーはかなり簡単に作れます。
この記事では、私が教室でもおすすめしている「失敗しにくい花8選」と、初心者でもすぐ実践できる作り方を紹介します。
ドライフラワーにしやすい花の条件とは
花なら何でもドライフラワーになるわけではありません。
きれいに仕上がる花には、共通する3つの条件があります。
水分量が少ない花を選ぶ
ドライフラワーは「花から水分を抜く」作業です。
当然ですが、もともと水分の少ない花のほうが乾燥が早く、形もきれいに残ります。
水分が多い花は乾燥に時間がかかり、その間に雑菌が繁殖したり、色がくすんだりしがちです。
生花の状態で触ったときに「カサカサしている」「花びらが硬い」と感じる花は、水分量が少ない証拠。
こうした花を選ぶだけで、失敗の確率がぐっと下がります。
花びらに厚みやハリがある
薄い花びらの花は、乾燥するとパリパリに割れたり、ポロポロと崩れたりします。
バラのように花びらに厚みがある花は、乾燥しても形が残りやすく仕上がりが安定します。
ガクがしっかりしている花も同様です。
カーネーションのようにガクが花びらを支えている構造の花は、乾燥後も花びらが散りにくい特徴があります。
色が濃い花ほど仕上がりがきれい
ドライフラワーにすると、生花のときよりも色が薄くなるのが普通です。
白やパステルカラーの花は乾燥するとベージュや茶色っぽくくすみがちですが、赤・紫・濃いピンクなど濃い色の花なら、多少色が落ちても「味のある色合い」として楽しめます。
色を重視するなら、最初から濃い色の品種を選ぶのがおすすめです。
初心者でも安心!ドライフラワーにしやすい花4選
ここからは、私が教室で「最初に試してほしい」とおすすめしている花を4つ紹介します。
どれもほぼ失敗しない、安心感のある花材です。
スターチス
ドライフラワー入門として、真っ先に名前が挙がる花です。
生花の段階ですでにカサカサとした質感で、乾燥前後で見た目がほとんど変わりません。
紫・ピンク・黄色・白とカラーバリエーションが豊富で、他の花との組み合わせにも使いやすいのが魅力。
花屋でも比較的安価に手に入るので、練習用としても気軽に試せます。
ハンギング法で吊るしておくだけで、1〜2週間できれいに仕上がります。
千日紅(センニチコウ)
コロンとした丸いフォルムがかわいらしい千日紅。
「千日紅」の名前のとおり、長い間色あせしにくい花です。
花に見える部分は実は苞(ほう)と呼ばれる葉の一部で、もともと硬くてカサカサしています。
そのため、ドライにしてもほぼ形が変わらず、色もしっかり残ります。
庭やプランターでも育てやすいので、自分で育てた花をドライフラワーにする楽しみ方もできます。
カスミソウ
ブーケやアレンジメントの脇役として見かけることが多いカスミソウですが、ドライフラワーとしてもかなり優秀です。
花が小さく水分量が少ないため、乾燥がとにかく早い。
縮んでも見た目にほとんど変化がなく、生花のときの雰囲気をそのまま保てます。
そのまま飾ってもかわいいですし、スワッグやリースのベースとしても重宝します。
最近は着色されたカラフルなカスミソウも人気で、ドライにしても着色の色がよく残ります。
ラベンダー
ドライフラワーにしたあとも香りが残る、ちょっと特別な花です。
しっかりした茎に小さな花が密集しているので、乾燥させても型崩れしにくい。
ポプリやサシェ(香り袋)としても活用できるので、飾るだけでなく「使える」ドライフラワーとして人気があります。
花が完全に開く前、つぼみの状態で収穫して乾燥させるのが、きれいに仕上げるコツです。
以下に、初心者向け4選の特徴をまとめました。
| 花材 | 難易度 | おすすめの作り方 | 色の変化 | 乾燥期間の目安 |
|---|---|---|---|---|
| スターチス | とても簡単 | ハンギング法 | ほぼ変わらない | 1〜2週間 |
| 千日紅 | とても簡単 | ハンギング法 | ほぼ変わらない | 1〜2週間 |
| カスミソウ | とても簡単 | ハンギング法 | わずかにくすむ | 1週間前後 |
| ラベンダー | 簡単 | ハンギング法 | やや紫が落ち着く | 1〜2週間 |
少しステップアップ!人気のドライフラワー花材4選
初心者向けの花で成功したら、次はこちらの4種に挑戦してみてください。
少しコツが必要ですが、仕上がりの美しさは格別です。
バラ
ドライフラワーの花材として根強い人気を持つバラ。
花びらが厚くしっかりしているため、乾燥しても形が崩れにくいのが魅力です。
ポイントは「濃い色のバラを選ぶこと」と「タイミング」。
赤や濃いピンクは色落ちしても深みのある色合いが残りますが、白や淡いピンクは茶色っぽくなりがちです。
また、満開になりきる前の「七〜八分咲き」で乾燥を始めると、花びらが開きすぎずきれいな形に仕上がります。
ミモザ
鮮やかな黄色が春の訪れを感じさせるミモザ。
水分量が少なく乾燥が早いため、ハンギング法で手軽にドライフラワーにできます。
注意したいのは、満開を過ぎてから乾燥させると色がくすみやすい点。
花がまだふわふわと柔らかいうちに吊るし始めるのが成功のカギです。
旬の時期(2〜3月頃)に花屋で見かけたら、迷わず手に入れておきたい花材です。
ユーカリ
厳密には「花」ではなく「葉もの」ですが、ドライフラワーの素材として外せない存在です。
もともと水分を多く含まない植物なので、乾燥中に極端に色が変わることがなく、失敗が少ないのが特徴。
乾燥するとシルバーグリーンの落ち着いた色合いになり、独特のアンティーク感が出ます。
爽やかな香りもほのかに残るので、バラやカスミソウと束ねてスワッグにするとバランスよく仕上がります。
LOVEGREEN(ラブグリーン)のドライフラワーの作り方でも、ユーカリはドライフラワー初心者におすすめの花材として紹介されています。
あじさい
あじさいのドライフラワーは、独特のくすんだ色合いがアンティークインテリアによく合います。
ただし、咲き始めの鮮やかなあじさいをドライにしようとすると、しおれてしまうことが多い花でもあります。
おすすめは「秋色あじさい」と呼ばれる、開花後に自然と色が変化した状態のもの。
時間が経って花びら(正確にはガク)の水分が減った段階なので、ドライにしやすくなっています。
作り方はドライインウォーター法が適しており、少量の水に挿して徐々に乾燥させるときれいに仕上がります。
| 花材 | 難易度 | おすすめの作り方 | 色の変化 | 乾燥期間の目安 |
|---|---|---|---|---|
| バラ | やや簡単 | ハンギング法 | 濃い色ほど残りやすい | 1〜2週間 |
| ミモザ | やや簡単 | ハンギング法 | やや黄色がくすむ | 1週間前後 |
| ユーカリ | 簡単 | ハンギング法 | シルバーグリーンに変化 | 1〜2週間 |
| あじさい | ふつう | ドライインウォーター法 | アンティーク調に変化 | 2〜3週間 |
今回紹介した花材は花屋で手に入りますが、ドライフラワー専門の通販サイトを利用する方法もあります。
Flower Smith Marketでは300種類以上のドライフラワー花材が揃っているので、「まず完成品を見てイメージを掴みたい」という方にも便利です。
初心者向け!ドライフラワーの簡単な作り方3選
おすすめの花がわかったところで、実際の作り方を紹介します。
ここでは初心者でも取り組みやすい3つの方法をお伝えします。
ハンギング法(逆さに吊るすだけ)
もっとも手軽で、道具もほとんどいらない方法です。
花屋やドライフラワー教室でまず最初にすすめられるのがこの方法。
やり方はシンプルです。
- 不要な葉を取り除く
- 花を1本ずつ(または少量の束で)麻紐や輪ゴムで縛る
- 風通しのよい日陰に逆さに吊るす
- 1〜2週間で完成
ポイントは「風通し」と「日陰」。
直射日光に当てると色あせが進みますし、風通しが悪いと乾燥に時間がかかってカビの原因になります。
扇風機の風を当てると乾燥が早くなるので、梅雨の時期などに試してみてください。
ドライインウォーター法(花瓶に挿したまま)
花瓶に少量の水を入れて花を挿し、水が自然に減っていく過程で徐々に乾燥させる方法です。
あじさいやカスミソウなど、茎がしっかりしていて立てた状態で乾燥させたい花に向いています。
- 花瓶に1〜5cm程度の水を入れる
- 花を挿して、風通しのよい日陰に置く
- 水は足さず、自然に蒸発させる
- 1〜2週間で完成
ハンギング法と違って花が上を向いた状態で乾くので、自然な形が保たれます。
ただし、茎が細い花や重い花は途中で曲がってしまうこともあるので注意してください。
シリカゲル法(色鮮やかに仕上げたい方向け)
生花に近い鮮やかな色を残したい方には、シリカゲル法がおすすめです。
乾燥剤のシリカゲルで花を埋めて水分を吸い取る方法で、ハンギング法より色の仕上がりが格段にきれいです。
- 密閉できる容器にシリカゲルを1〜2cm敷く
- 花の茎を短くカットし、花を上向きに置く
- 花びらの隙間にもシリカゲルがいきわたるよう、やさしく振りかけて花全体を埋める
- フタをして1週間ほど置く
仕上がりの美しさはピカイチですが、茎をカットする必要があるため、そのまま花瓶に飾るには不向きです。
レジンアクセサリーやハーバリウムの素材として使いたい方に特に人気があります。
KINCHO園芸のドライフラワーの作り方でも、それぞれの方法の向き不向きがわかりやすく解説されています。
| 作り方 | 難易度 | 必要な道具 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| ハンギング法 | とても簡単 | 紐のみ | 道具不要、手軽 | 色あせしやすい |
| ドライインウォーター法 | 簡単 | 花瓶のみ | 自然な形が残る | 乾燥に時間がかかる |
| シリカゲル法 | ふつう | シリカゲル・密閉容器 | 色が鮮やかに残る | 茎をカットする必要あり |
ドライフラワー作りで失敗しないためのコツ
花材と作り方がわかっても、ちょっとした油断で仕上がりに差が出ます。
教室でもよく伝えている、3つのコツを紹介します。
新鮮な花を選ぶ
これが一番大事なポイントです。
しおれかけの花でドライフラワーを作ろうとしても、きれいには仕上がりません。
花屋で買ったらその日のうちに、もらった花束もなるべく早く乾燥の作業に入りましょう。
「もう少し生花で楽しんでから……」と後回しにすると、日に日に水分が増えて乾燥しにくくなります。
風通しのよい日陰で乾燥させる
乾燥場所の選び方で仕上がりが大きく変わります。
理想的な条件はこの3つです。
- 直射日光が当たらない(色あせ防止)
- 風通しがよい(カビ・雑菌の繁殖を防ぐ)
- 湿度が低い(50%以下が理想)
浴室の乾燥機能を使ったり、エアコンの効いた部屋に吊るしたりするのも効果的です。
天候が不安定な梅雨時期は避けて、乾燥した晴天の日に始めるのがベストです。
小分けにして乾燥させる
花束をそのまま吊るしたくなる気持ちはわかりますが、まとめて乾燥させると花と花の間に空気が通らず、内側からカビが生えることがあります。
面倒でも1本ずつ、多くても3〜4本の小束にして乾燥させてください。
乾燥が完了してから束ねれば、きれいなスワッグやブーケに仕上げられます。
ドライフラワーに向いていない花も知っておこう
逆に、ドライフラワーに向いていない花も知っておくと失敗を避けられます。
避けたほうがよい花の特徴
次のような特徴を持つ花は、ドライフラワーにすると仕上がりが悪くなりがちです。
- 水分量が多い花(チューリップ、ユリ、ツバキなど)
- 花びらが薄くて繊細な花(ガーベラ、サクラ、コスモスなど)
- 白や淡い色の花(乾燥すると茶色くくすみやすい)
チューリップやユリは茎にも花にも水分がたっぷり含まれているため、乾燥に時間がかかりすぎて形が崩れます。
ガーベラも見た目はしっかりしていますが、花びらが薄いため乾燥すると丸まってしまいます。
よくある失敗パターンと対処法
教室で見かける失敗のパターンは、だいたい決まっています。
まず多いのが、「花が茶色くなった」という失敗。
原因のほとんどは、乾燥に時間がかかりすぎたことです。
対策としては、水分量の少ない花を選ぶか、扇風機やエアコンで乾燥を早めてください。
次に多いのが「カビが生えた」。
湿度の高い場所に置いていたり、花束のまま乾燥させていたりすることが原因です。
風通しのよい場所で、小分けにして乾燥させれば防げます。
「花びらが全部落ちた」という声もたまに聞きます。
これはそもそもドライフラワーに向いていない花を選んでいるか、完全に咲ききった後の花を使っている場合が多いです。
花材選びと乾燥を始めるタイミングを見直してみてください。
まとめ
ドライフラワーは花材選びさえ間違えなければ、特別な道具や技術がなくても作れます。
まずはスターチスや千日紅など、ほぼ失敗しない花材から試してみてください。
慣れてきたらバラやあじさいにも挑戦して、少しずつレパートリーを増やしていくのが楽しいですよ。
この記事で紹介した花と作り方を参考に、ぜひ自分だけのドライフラワーを作ってみてください。
